Posts in Category: 美術館・美術展

2017/03/15 これぞ暁斎!展

大好きな河鍋暁斎の画を観にBunkamuraへ。今回の展示のすべての作品はイスラエル・ゴールドマン氏の所蔵でロンドンから来ているとのこと。河鍋暁斎に注目することになった作品は「半身達磨」、作品を集めることになったきっかけの作品は「象とたぬき」だそう。展示は単に暁斎の人生の時系列的ジャンル分けではなく、氏のコレクションの初期段階や画題の内容、描かれた時期など多彩な分け方で面白いと思った。河鍋暁斎の評価が今よりもまだまだ低かった時代にゴールドマン氏は暁斎の画のどこに惹かれてコレクションしたのかという視点からも楽しめる内容だったと思う。やはり個人的には動物画と戯画で口元がほころぶ作品が多かったように思う。あと幽霊図と百鬼夜行の画を前にするとどうしても息が止まってしまう。音声ガイドは春風亭昇太さんと藤村紀子さん。解説の軽妙さが作品の洒脱さと合っていて、楽しんで解説を聞けた。

今日は寒くて少し雨がぱらつく渋谷でした。

2017/02/06 青龍社の女性画家 小畠鼎子

吉祥寺で開催されている小畠鼎子さんの展覧会に行ってきました。吉祥寺は何度も行ったことのある街なのだけど、徒歩5分圏内に美術館なんてあったっけ?と思っていたらあるんですね、これが。小畠さんの画は強烈なインパクトというよりは、温かさがじんわり伝わってくるような作品たち。戦前と戦後という時代を通して描かれたような雰囲気ではありませんでした。企画展は小畠さんの展示だったのですが、常設展は萩原英雄さんと浜口陽三さんの部屋がそれぞれ一つずつ、合計3つの部屋を見ることができました。小畠さんの画を観に行ったのだけれど、実は今回一番興味深かったのは浜口陽三さんの作品。カラーメゾチントという技法で制作された作品の色の深さにびっくり。こんな版画見たことなかった。メゾチントは銅版画の一種らしいのですが、黒の中にも無数の色のトーンが表現されていて、静謐感の漂う落ち着いた雰囲気の非常に美しい版画たちでした。写真のモノクロームの印画紙にも温黒調とか冷黒調とかあるけれど、もっと豊かな色彩を含んだ深みのある黒のトーンに目を見張りました。人の手で造った黒の色とでも言うのでしょうか。常設展の部屋に素敵なデザインの椅子が所々に置いてあって、座って鑑賞できます。外国の作家の名のある作品なのでしょう、美しいデザインの椅子がさりげなく置かれている小さいながらも素敵な美術館でした。入館料はなんと100円。もうちょっといただいてもいいんじゃないでしょうか、と思える素敵な空間でした。世の中には自分が知らないだけで、すごいものが本当にたくさんあるなぁ。

この通りは何回も通ったことがあったけど、この看板を意識したことはなかった。1Fにムーミンカフェが入っているビルです。

2017/01/29 ティツィアーノとヴェネツィア派展

午前中から上野の都美館へ。去年春にカラヴァッジョ展を観てから、食わず嫌いだったイタリア絵画に少しずつ興味が出てきた。そんな自分でもティツィアーノという名前くらいは知っているけれど、ヴェネツィア派という言葉は聞いたことがなかった。デッサンを重視したフィレンツェ派とは違って色彩とその場の空気感の表現を重視していた流派とのこと。展示の内容はヴェネツィア派の中核であるベリーニ親子の工房の作品、その工房出身の作家たちの作品、時代は下ってその影響を受けたティツィアーノやティントレットなどの巨匠たちの作品、ヴェネツィア派の版画という構成だった。印象に残ったのはやはりティツィアーノの「フローラ」「ダナエ」「教皇パウルス3世の肖像」、パルマ・イル・ヴェッキオの「ユディト」、ヤコボ・ティントレットの「レダと白鳥」。ヴェネツィア派の展示ということもあり、肖像画と宗教画が多かった。飽きずに最後まで楽しく観れたのはキュレーターさんたちの力なのだろうと思った。音声ガイドの別所哲也さんの語りもよかった。

今日の空が映る都美館前のオブジェ。

2016/12/26~2017/01/09 “Trip in AMSTERDAM/Netherland,BERLIN/COLOGNE/Germany” 備忘録

2016/12/27
RIJKSMuseum(アムステルダム国立美術館)/Amsterdam

2016/12/23 デトロイト美術館展

朝イチで上野の森美術館展へ。結構前からやっている展示のせいか、思っていたほどは混んでいなかった。デトロイト美術館が所蔵する19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画コレクション。ギュスターヴ・クールベからピカソあたりまで。ドガ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、マティスなどオールスター級の有名どころがずらり。印象に残ったのはモネの「グラジオラス」、カロリュス=デュランの「喜び楽しむ人々」、セザンヌの「画家の夫人」と「三つの髑髏」、ゴッホの「自画像」と「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」、マティスの「窓」と「コーヒータイム」、ピカソの「アニス酒の瓶」と「座る女性」。今回の展示で一番意外だったのは20世紀のドイツ絵画が12点あったこと。全52点なので結構な枚数だと思う。去年ベルリンのベルリニッシュギャラリーで見たベックマンは知っていたけど、他は知らない画家ばかりでとても印象的だった。中でもエイルンスト・ルードヴィヒ・キルヒナーの「月下の冬景色」、オスカー・ココシュカの「エルベ川、ドレスデン近郊」、オットー・ディクスの「自画像」。このすごい内容のコレクションを持つ美術館がニューヨークでもなく、ワシントンでもなくデトロイトという町にあるのは不思議だと思っていた。それになぜ第二次世界大戦頃のドイツ絵画をコレクションに積極的に加えたのかということも詳しく知りたい。この美術館の成り立ちとその後現在にいたるまでの波乱万丈の物語を、原田マハさんが芸術新潮で連載していたものがこのあいだ単行本になって新潮社から出たようなので、ぜひ読んでみようと思う。オーディオガイドは鈴木京香さん。柔らかな語り口がとても素敵でした。

観終わってからちょっと歩いて天寿々(てんすず)で昼。特上天丼はとても美味しかった。要再訪、できれば夜行きたい。

2016/10/27 鈴木其一展・後期

展示替え後。意外と混んでいてびっくり。前期の展示で見たものはスキップしようと思っていたのだけれど、展示替えになった作品が多いので結局じっくり見てしまった。印象に残った作品は「夏秋渓流図屏風」「風神雷神図襖」「蔬菜群虫図」「毘沙門天像」「龍上白衣観音像」「十二ヶ月図扇」「石橋・牡丹図」「朝顔図屏風(何度見てもすごい)」「四季花鳥図屏風」「竹鍾馗図」。特に見たかったのは夏秋渓流図屏風。図版で見ていた画の感じと全く違う印象。画にあえて遠近感をつけないことによって、かえって余計に奥行きを感じさせる。金地の余白との絶妙なバランスもそれを増幅しているのだと思う。申し訳程度の展示替えではなかった。個人的には後期の展示の方が好きな作品が多かった。前期後期でそれぞれをこんなに楽しめるとは思わなかった。素敵なサプライズ。

サントリー美術館の前にソファが置いてあるパブリックスペースがあるのだけれど、展示を見終わってソファに座ってディスプレイを見るのも楽しみの一つ。秋のイメージで装飾してあった。第一園芸という会社が担当されているようだ。_dsf4121

2016/10/25 ゴッホとゴーギャン展

アルルでの共同生活時代を核に、ゴッホとゴーギャンの絵に対する考え方の違いとそれぞれの個性を浮かび上がらせる展示だったと思う。アルルでの共同生活前後の二人の作風の変遷も興味深い。強烈な個性の持ち主同士が刺激と影響を与え合って作風が目に見えて明らかに変わってゆく。特にゴッホが精神を病んで以降、そしてゴーギャンがタヒチに渡って以降の二人の作風の変遷ぶりは自分が感じていた以上だった。どちらももはやこの世ではなく、あの世の風景を描いていたのではないかと思ってしまう。自分にとって大事なもの、自己と他者、変わるものと変わらないもの、いつもに増していろいろなことを考えさせられる展示だった。印象に残ったのは、ゴッホ「古い教会の塔、ニューネン」「ボートの浮かぶセーヌ川」「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏」「グラスに生けたアーモンドの小枝」「レモンの籠と瓶」「耕された畑」「公園の小道」「ゴーギャンの椅子」「玉ねぎの皿のある静物」「刈り入れをする人のいる麦畑」、ゴーギャン「ブルターニュの少年の水浴」「ガチョウの戯れ」「アリスカンの並木道」「ブドウの収穫、人間の悲惨」「水辺の女」「タヒチの女」「タヒチの3人」「タヒチの牧歌」「肘掛け椅子のひまわり」、ジャン・フランソワ・ミレー「鵞鳥番の少女」、ポール・セリュジェ「リンゴの収穫」。

久々に上野の大仏に寄ってみる。受験生たちの絵馬がたくさん。薬師如来と日光菩薩と月光菩薩を拝んで帰途に。_dsf4119

2016/10/12 大仙厓展

インデアンカレーの丸の内店で甘くて辛い不思議に美味いカレーライスを食べてから、出光美術館で開催されている仙厓展へ。禅僧仙厓が人々に禅の境地をわかりやすく描いて示した書画たち。軽妙でユーモアたっぷり。最近ではゆるくてかわいい書画としても人気なのだとか。展示の解説に、自分も笑えて人からも笑ってもらえる画を描きたいという意味のことがあって心をうたれた。有名な「座禅蛙画賛」「指月布袋図」「○△□」「自画像画賛」「あくび布袋図」「犬図」などなど、一挙に目にすることができて幸せな時間を過ごした。一通り見終わって東京駅近くのカフェでコーヒーを飲んで思い出したのは、井上ひさし氏の座右の銘。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと」という言葉。洒脱(な画)っていうのはこういうことなのだと思う。あ、別室のルオーの画の部屋も静かな時間が流れていてすばらしかった。

出光美術館から東京駅まで歩いた。久々に丸の内南口の天井を見上げたけど、やっぱこの光景は見入ってしまう(防護ネットの無粋さはなんとかならないものだろうか…)。_dsf4092

2016/10/06 ダリ展

午後に時間ができたのでダリ展へ。金曜の午後というのに想像以上に混んでいた。印象派の影響を受けていたり、ピカソ風だったりする初期のダリの絵が興味深い。そこからのシュルレアリズムの作風になっていく様子も。後半の原子力や物理に興味を持っていた頃の作品が自分にとってのダリのイメージだった。それから晩年の作品はあまり見たことがなかったが、今回じっくり見れてよかった。展示総数約130、最初期から最晩年までの作家のスタイルの変遷をじっくり追える素晴らしい展示だと思う。印象に残っているのは「縫い物をする祖母アナの肖像」「聖十字架祭のためのポスター」「速度の感覚」「皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン」「ターバンを巻いたガラの肖像」「不思議の国のアリス」「ポルト・リガトの聖母」「ラファエロの聖母の最高速度」。そういえば会場で「アンダルシアの犬」の上映をしていたので20年以上ぶりに観た。相変わらず強烈かつ激しく刺激的。帰りにB1のミュージアムショップでインディゴ染めのトートバッグ買ってしまった。

帰り際、沈む寸前の夕陽が差し込んでいた。この美術館は本当にかっこいい建築で大好きだ。いつ来ても新鮮な気持ちになる。_dsf4077

2016/09/13 鈴木其一展・前期

休館日だけど、たまたまメンバー向けの内覧会をやっていたのでサントリー美術館へ。江戸琳派の旗手、鈴木其一展。展示期間前期。一部に師の酒井抱一や同時代の画家の作品の展示もあってかなり充実した内容。抱一、其一や谷文晁ら同時代の第一線の画家たちが流派を超えて寄せ書きした文政三年諸家寄合描図はいろいろな絵が書いてあるのもあってじっくり見てしまった。其一の作品で特に印象に残ったのは、文読む遊女図、木蓮小禽図、釣鐘図、吉祥天像、迦陵頻図絵馬、暁桜・夜桜図、そして圧巻の朝顔図屏風。朝顔図屏風がメトロポリタン美術館所蔵っていうのはやはり口惜しいと感じる。小品も大作もいちいちすごい。1時間半くらいかけてじっくり観れた。展示替えリストを熟読してみると後期の展示もよさそうだ。風神雷神図屏風や夏秋渓流図屏風あたりはぜひ見たい。後期も時間作って行ってくるかな。

小雨のミッドタウン。デリーでコルマカレーのレトルト買って帰途に。_dsf4046