Posts in Category: 美術館・美術展

2016/10/12 大仙厓展

インデアンカレーの丸の内店で甘くて辛い不思議に美味いカレーライスを食べてから、出光美術館で開催されている仙厓展へ。禅僧仙厓が人々に禅の境地をわかりやすく描いて示した書画たち。軽妙でユーモアたっぷり。最近ではゆるくてかわいい書画としても人気なのだとか。展示の解説に、自分も笑えて人からも笑ってもらえる画を描きたいという意味のことがあって心をうたれた。有名な「座禅蛙画賛」「指月布袋図」「○△□」「自画像画賛」「あくび布袋図」「犬図」などなど、一挙に目にすることができて幸せな時間を過ごした。一通り見終わって東京駅近くのカフェでコーヒーを飲んで思い出したのは、井上ひさし氏の座右の銘。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと」という言葉。洒脱(な画)っていうのはこういうことなのだと思う。あ、別室のルオーの画の部屋も静かな時間が流れていてすばらしかった。

出光美術館から東京駅まで歩いた。久々に丸の内南口の天井を見上げたけど、やっぱこの光景は見入ってしまう(防護ネットの無粋さはなんとかならないものだろうか…)。_dsf4092

2016/10/06 ダリ展

午後に時間ができたのでダリ展へ。金曜の午後というのに想像以上に混んでいた。印象派の影響を受けていたり、ピカソ風だったりする初期のダリの絵が興味深い。そこからのシュルレアリズムの作風になっていく様子も。後半の原子力や物理に興味を持っていた頃の作品が自分にとってのダリのイメージだった。それから晩年の作品はあまり見たことがなかったが、今回じっくり見れてよかった。展示総数約130、最初期から最晩年までの作家のスタイルの変遷をじっくり追える素晴らしい展示だと思う。印象に残っているのは「縫い物をする祖母アナの肖像」「聖十字架祭のためのポスター」「速度の感覚」「皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン」「ターバンを巻いたガラの肖像」「不思議の国のアリス」「ポルト・リガトの聖母」「ラファエロの聖母の最高速度」。そういえば会場で「アンダルシアの犬」の上映をしていたので20年以上ぶりに観た。相変わらず強烈かつ激しく刺激的。帰りにB1のミュージアムショップでインディゴ染めのトートバッグ買ってしまった。

帰り際、沈む寸前の夕陽が差し込んでいた。この美術館は本当にかっこいい建築で大好きだ。いつ来ても新鮮な気持ちになる。_dsf4077

2016/09/13 鈴木其一展・前期

休館日だけど、たまたまメンバー向けの内覧会をやっていたのでサントリー美術館へ。江戸琳派の旗手、鈴木其一展。展示期間前期。一部に師の酒井抱一や同時代の画家の作品の展示もあってかなり充実した内容。抱一、其一や谷文晁ら同時代の第一線の画家たちが流派を超えて寄せ書きした文政三年諸家寄合描図はいろいろな絵が書いてあるのもあってじっくり見てしまった。其一の作品で特に印象に残ったのは、文読む遊女図、木蓮小禽図、釣鐘図、吉祥天像、迦陵頻図絵馬、暁桜・夜桜図、そして圧巻の朝顔図屏風。朝顔図屏風がメトロポリタン美術館所蔵っていうのはやはり口惜しいと感じる。小品も大作もいちいちすごい。1時間半くらいかけてじっくり観れた。展示替えリストを熟読してみると後期の展示もよさそうだ。風神雷神図屏風や夏秋渓流図屏風あたりはぜひ見たい。後期も時間作って行ってくるかな。

小雨のミッドタウン。デリーでコルマカレーのレトルト買って帰途に。_dsf4046

2016/07/29 ポンピドゥー・センター傑作展

東京都美術館。ポンピドゥー・センター開設までの1977年まで年代順、1907年から一年ごとに一作品という展示方法。その時代を代表する作品を順に見ていくという経験はなかなか出来ないのでとても新鮮だった。有名作家オールスター戦といった感じなのかなと思っていたのだが、名前すら知らなかった作家の作品もたくさん見ることができた。ピカソやシャガール、マティスといった超有名画家の作品は当然素晴らしかったのだけれど、自分が印象に残ったのは1908年のオーギュスト・シャボーの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」、1941年のフルリ=ジョセフ・クレパンの「寺院」、ベルナール・ビュフェの「室内」という作品だった。特に「寺院」が一番印象的。アンリ・カルチェ・ブレッソン「サン=ラザール駅裏」やリチャード・アヴェドン「ガブリエル・シャネル」のオリジナルプリントが見れたのはうれしかった。関係ないですが、上野公園でポケ○ンG○に興じていたのは大人の方が多い印象。みなさん楽しそうに木陰で遊んでました。

都美館からの帰り道、桜の木陰で白い鳩と一休み。_DSF4018

2016/07/12 エミール・ガレ展

国内有数のガレ・コレクションを誇るサントリー美術館が所有している作品を一挙に公開する企画とのこと。ガレの生い立ちとそこから受けた影響、異国の作品や植物学や生物学から影響を受けて作成した作品、そしてガレがたどり着いた晩年の境地から生み出した作品群という内容の展示でした。ガレが個人で所有して影響を受けたであろう異国のガラスや玉製の作品と自身の作品とが並べてあって非常に興味深かったです。また、それらの作品を作るにあたって描いた習作や意匠をオルセー美術館から大量に借り受けて展示してありました。どのパートのエッセンスに反応して、どこを自分の解釈で作り上げたのか。そこからガレの発想力の源と作品が生まれるプロセスがわかるような気がしました。
ひとことで言うと、どの作品も「異様な美しさ」。ガラスは透明でなくてはならない、という先入観を捨てるとこんなにも表現の幅が広げることができるということ。そしてそれを実現することができたガレの工房の技術力の高さ。休館日に開いてくれた内覧会を思い切り堪能しました。スライドを使った学芸員さんの見どころ解説も聞けたし、本当に行ってよかった。

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2016/06/06~11 “RIGA” 備忘録

2016/05/26 ルノワール展

国立新美術館。展示の目玉であろうムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会、都会のダンスと田舎のダンスは言うまでもなく素晴らしかった。彼は楽しくなかったら絵なんか描かないと言ったそうだ。たしかにルノワールの絵で悲惨だったり重苦しい画題のものは見たことがない。しかし、あんな風に明るい画題をとことん美しく明るく描くのってなかなかできることではないのだろうと思う。やはり色に目がいってしまう。明暗を単に輝度差ではなく、色に置き換えて表現。すごい発想だ。ルノワールの絵だけでなく、同時代の画家たちの絵も展示してあったおかげで当時の服装や風俗も別の視点から見せてくれる楽しい展示だと思った。ゴッホも3点あった。アルルのダンスホールが見れてうれしかった。ルノワールにインスパイアされて描いたピカソの絵も一点、マティスも一点。展示のラストの目玉の一つ、ルノワールの浴女たちもじっくり見れてよかった。目玉の作品をはじめ、小品もたくさんあって素晴らしい展示だったと思う。平日の夕刻のせいか、意外と空いていてじっくり回れた。

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2016/03/31 安田靫彦展

久々に御茶ノ水のディランでカレーライスを食べて、腹ごなしに歩いて竹橋まで。前から楽しみにしていた展示。彼一流の解釈で描いた風神雷神図の若々しさにびっくり。こういうのもありなのだなぁ。王昭君、卑弥呼、保食神、孫氏勒姫兵が印象に残った。初めて見た植物画も。結構な点数が展示されていて充実した展示だったと思う。それから上階のパーマネントコレクションも観たのだけれど、日本画のコーナーには安田靫彦展と連動して「靫彦レコメンド」(彼と親交があった画家の画に彼のコメントを載せる)が付いていた。こういう連携企画はとてもうれしい。パーマネントコレクションでもいつもと違う楽しみ方ができる。学芸員さんたちのナイスアイディアですね。

いつもの国立近代美術館の企画展とは違う雰囲気のエントランス。外国の人たちもかなり目についた。楽しんでくれたかな。_DSF3526

2016/03/29 俺たちの国芳 わたしの国貞展

ボストン美術館所蔵の歌川国芳と歌川国芳の浮世絵の展示。渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム。たしか中学生の頃に読んだ妹尾河童さんの本の中に、有名彫り師(刺青)のくだりがあって、その彫り師の方が国芳の武者絵をコレクションしていると書いてあってどんな絵なんだろうと思ったっけ。江戸時代の任侠と当時の歌舞伎役者のカッコよさ、女性の着物の粋な着こなし。かなりの点数が展示してあってじっくり見ていくと思ったより時間がかかってしまった。彼らの画面構成のセンスに驚嘆。刷りの状態もとても良くて非常に美しい。なぜかちょっと高倉健さんの任侠ものの映画を見たくなった。春休みということもあって少し混んでいたかな。

Bunkamuraの1FにHervé Chatelainという花屋さんが入っているのだけれど、ここのディスプレイは本当に美しいと思う。このお店の前を通るのも楽しみの一つ。_DSF3477

2016/03/25 カラヴァッジョ展

イタリア絵画にあまり心惹かれたことがないのだけれど、この展覧会のポスター(バッカス)を見て行こうと思った。展示は風俗、静物、肖像など7つのテーマに分けてカラヴァッジョとカラヴァジェスキ(彼の画風を模倣し継承した画家たち)の作品を並列させて展示。カラヴァッジョのバッカスと法悦のマグダラのマリアが印象に残った。イタリア絵画というと拡散性の柔らかくて理想的な光で描かれた絵、だと思い込んでいたようだ。光の方向性が明確で陰影に富み、対象の内面を描こうとしている作品が多かった。それにしてもほぼ500年前、16世紀の絵がこのレベルですか。天才ってやつは…。

上野公園の桜は二から三分咲きでしょうか。外国の方々がたくさんいて楽しそうに写真撮ってました。自分も混じって一枚。_DSF3464