Posts in Category: 美術館・美術展

2016/12/23 デトロイト美術館展

朝イチで上野の森美術館展へ。結構前からやっている展示のせいか、思っていたほどは混んでいなかった。デトロイト美術館が所蔵する19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画コレクション。ギュスターヴ・クールベからピカソあたりまで。ドガ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、マティスなどオールスター級の有名どころがずらり。印象に残ったのはモネの「グラジオラス」、カロリュス=デュランの「喜び楽しむ人々」、セザンヌの「画家の夫人」と「三つの髑髏」、ゴッホの「自画像」と「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」、マティスの「窓」と「コーヒータイム」、ピカソの「アニス酒の瓶」と「座る女性」。今回の展示で一番意外だったのは20世紀のドイツ絵画が12点あったこと。全52点なので結構な枚数だと思う。去年ベルリンのベルリニッシュギャラリーで見たベックマンは知っていたけど、他は知らない画家ばかりでとても印象的だった。中でもエイルンスト・ルードヴィヒ・キルヒナーの「月下の冬景色」、オスカー・ココシュカの「エルベ川、ドレスデン近郊」、オットー・ディクスの「自画像」。このすごい内容のコレクションを持つ美術館がニューヨークでもなく、ワシントンでもなくデトロイトという町にあるのは不思議だと思っていた。それになぜ第二次世界大戦頃のドイツ絵画をコレクションに積極的に加えたのかということも詳しく知りたい。この美術館の成り立ちとその後現在にいたるまでの波乱万丈の物語を、原田マハさんが芸術新潮で連載していたものがこのあいだ単行本になって新潮社から出たようなので、ぜひ読んでみようと思う。オーディオガイドは鈴木京香さん。柔らかな語り口がとても素敵でした。

観終わってからちょっと歩いて天寿々(てんすず)で昼。特上天丼はとても美味しかった。要再訪、できれば夜行きたい。

2016/10/27 鈴木其一展・後期

展示替え後。意外と混んでいてびっくり。前期の展示で見たものはスキップしようと思っていたのだけれど、展示替えになった作品が多いので結局じっくり見てしまった。印象に残った作品は「夏秋渓流図屏風」「風神雷神図襖」「蔬菜群虫図」「毘沙門天像」「龍上白衣観音像」「十二ヶ月図扇」「石橋・牡丹図」「朝顔図屏風(何度見てもすごい)」「四季花鳥図屏風」「竹鍾馗図」。特に見たかったのは夏秋渓流図屏風。図版で見ていた画の感じと全く違う印象。画にあえて遠近感をつけないことによって、かえって余計に奥行きを感じさせる。金地の余白との絶妙なバランスもそれを増幅しているのだと思う。申し訳程度の展示替えではなかった。個人的には後期の展示の方が好きな作品が多かった。前期後期でそれぞれをこんなに楽しめるとは思わなかった。素敵なサプライズ。

サントリー美術館の前にソファが置いてあるパブリックスペースがあるのだけれど、展示を見終わってソファに座ってディスプレイを見るのも楽しみの一つ。秋のイメージで装飾してあった。第一園芸という会社が担当されているようだ。_dsf4121

2016/10/25 ゴッホとゴーギャン展

アルルでの共同生活時代を核に、ゴッホとゴーギャンの絵に対する考え方の違いとそれぞれの個性を浮かび上がらせる展示だったと思う。アルルでの共同生活前後の二人の作風の変遷も興味深い。強烈な個性の持ち主同士が刺激と影響を与え合って作風が目に見えて明らかに変わってゆく。特にゴッホが精神を病んで以降、そしてゴーギャンがタヒチに渡って以降の二人の作風の変遷ぶりは自分が感じていた以上だった。どちらももはやこの世ではなく、あの世の風景を描いていたのではないかと思ってしまう。自分にとって大事なもの、自己と他者、変わるものと変わらないもの、いつもに増していろいろなことを考えさせられる展示だった。印象に残ったのは、ゴッホ「古い教会の塔、ニューネン」「ボートの浮かぶセーヌ川」「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏」「グラスに生けたアーモンドの小枝」「レモンの籠と瓶」「耕された畑」「公園の小道」「ゴーギャンの椅子」「玉ねぎの皿のある静物」「刈り入れをする人のいる麦畑」、ゴーギャン「ブルターニュの少年の水浴」「ガチョウの戯れ」「アリスカンの並木道」「ブドウの収穫、人間の悲惨」「水辺の女」「タヒチの女」「タヒチの3人」「タヒチの牧歌」「肘掛け椅子のひまわり」、ジャン・フランソワ・ミレー「鵞鳥番の少女」、ポール・セリュジェ「リンゴの収穫」。

久々に上野の大仏に寄ってみる。受験生たちの絵馬がたくさん。薬師如来と日光菩薩と月光菩薩を拝んで帰途に。_dsf4119

2016/10/12 大仙厓展

インデアンカレーの丸の内店で甘くて辛い不思議に美味いカレーライスを食べてから、出光美術館で開催されている仙厓展へ。禅僧仙厓が人々に禅の境地をわかりやすく描いて示した書画たち。軽妙でユーモアたっぷり。最近ではゆるくてかわいい書画としても人気なのだとか。展示の解説に、自分も笑えて人からも笑ってもらえる画を描きたいという意味のことがあって心をうたれた。有名な「座禅蛙画賛」「指月布袋図」「○△□」「自画像画賛」「あくび布袋図」「犬図」などなど、一挙に目にすることができて幸せな時間を過ごした。一通り見終わって東京駅近くのカフェでコーヒーを飲んで思い出したのは、井上ひさし氏の座右の銘。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと」という言葉。洒脱(な画)っていうのはこういうことなのだと思う。あ、別室のルオーの画の部屋も静かな時間が流れていてすばらしかった。

出光美術館から東京駅まで歩いた。久々に丸の内南口の天井を見上げたけど、やっぱこの光景は見入ってしまう(防護ネットの無粋さはなんとかならないものだろうか…)。_dsf4092

2016/10/06 ダリ展

午後に時間ができたのでダリ展へ。金曜の午後というのに想像以上に混んでいた。印象派の影響を受けていたり、ピカソ風だったりする初期のダリの絵が興味深い。そこからのシュルレアリズムの作風になっていく様子も。後半の原子力や物理に興味を持っていた頃の作品が自分にとってのダリのイメージだった。それから晩年の作品はあまり見たことがなかったが、今回じっくり見れてよかった。展示総数約130、最初期から最晩年までの作家のスタイルの変遷をじっくり追える素晴らしい展示だと思う。印象に残っているのは「縫い物をする祖母アナの肖像」「聖十字架祭のためのポスター」「速度の感覚」「皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン」「ターバンを巻いたガラの肖像」「不思議の国のアリス」「ポルト・リガトの聖母」「ラファエロの聖母の最高速度」。そういえば会場で「アンダルシアの犬」の上映をしていたので20年以上ぶりに観た。相変わらず強烈かつ激しく刺激的。帰りにB1のミュージアムショップでインディゴ染めのトートバッグ買ってしまった。

帰り際、沈む寸前の夕陽が差し込んでいた。この美術館は本当にかっこいい建築で大好きだ。いつ来ても新鮮な気持ちになる。_dsf4077

2016/09/13 鈴木其一展・前期

休館日だけど、たまたまメンバー向けの内覧会をやっていたのでサントリー美術館へ。江戸琳派の旗手、鈴木其一展。展示期間前期。一部に師の酒井抱一や同時代の画家の作品の展示もあってかなり充実した内容。抱一、其一や谷文晁ら同時代の第一線の画家たちが流派を超えて寄せ書きした文政三年諸家寄合描図はいろいろな絵が書いてあるのもあってじっくり見てしまった。其一の作品で特に印象に残ったのは、文読む遊女図、木蓮小禽図、釣鐘図、吉祥天像、迦陵頻図絵馬、暁桜・夜桜図、そして圧巻の朝顔図屏風。朝顔図屏風がメトロポリタン美術館所蔵っていうのはやはり口惜しいと感じる。小品も大作もいちいちすごい。1時間半くらいかけてじっくり観れた。展示替えリストを熟読してみると後期の展示もよさそうだ。風神雷神図屏風や夏秋渓流図屏風あたりはぜひ見たい。後期も時間作って行ってくるかな。

小雨のミッドタウン。デリーでコルマカレーのレトルト買って帰途に。_dsf4046

2016/07/29 ポンピドゥー・センター傑作展

東京都美術館。ポンピドゥー・センター開設までの1977年まで年代順、1907年から一年ごとに一作品という展示方法。その時代を代表する作品を順に見ていくという経験はなかなか出来ないのでとても新鮮だった。有名作家オールスター戦といった感じなのかなと思っていたのだが、名前すら知らなかった作家の作品もたくさん見ることができた。ピカソやシャガール、マティスといった超有名画家の作品は当然素晴らしかったのだけれど、自分が印象に残ったのは1908年のオーギュスト・シャボーの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」、1941年のフルリ=ジョセフ・クレパンの「寺院」、ベルナール・ビュフェの「室内」という作品だった。特に「寺院」が一番印象的。アンリ・カルチェ・ブレッソン「サン=ラザール駅裏」やリチャード・アヴェドン「ガブリエル・シャネル」のオリジナルプリントが見れたのはうれしかった。関係ないですが、上野公園でポケ○ンG○に興じていたのは大人の方が多い印象。みなさん楽しそうに木陰で遊んでました。

都美館からの帰り道、桜の木陰で白い鳩と一休み。_DSF4018

2016/07/12 エミール・ガレ展

国内有数のガレ・コレクションを誇るサントリー美術館が所有している作品を一挙に公開する企画とのこと。ガレの生い立ちとそこから受けた影響、異国の作品や植物学や生物学から影響を受けて作成した作品、そしてガレがたどり着いた晩年の境地から生み出した作品群という内容の展示でした。ガレが個人で所有して影響を受けたであろう異国のガラスや玉製の作品と自身の作品とが並べてあって非常に興味深かったです。また、それらの作品を作るにあたって描いた習作や意匠をオルセー美術館から大量に借り受けて展示してありました。どのパートのエッセンスに反応して、どこを自分の解釈で作り上げたのか。そこからガレの発想力の源と作品が生まれるプロセスがわかるような気がしました。
ひとことで言うと、どの作品も「異様な美しさ」。ガラスは透明でなくてはならない、という先入観を捨てるとこんなにも表現の幅が広げることができるということ。そしてそれを実現することができたガレの工房の技術力の高さ。休館日に開いてくれた内覧会を思い切り堪能しました。スライドを使った学芸員さんの見どころ解説も聞けたし、本当に行ってよかった。

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2016/06/06~11 “RIGA” 備忘録

2016/05/26 ルノワール展

国立新美術館。展示の目玉であろうムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会、都会のダンスと田舎のダンスは言うまでもなく素晴らしかった。彼は楽しくなかったら絵なんか描かないと言ったそうだ。たしかにルノワールの絵で悲惨だったり重苦しい画題のものは見たことがない。しかし、あんな風に明るい画題をとことん美しく明るく描くのってなかなかできることではないのだろうと思う。やはり色に目がいってしまう。明暗を単に輝度差ではなく、色に置き換えて表現。すごい発想だ。ルノワールの絵だけでなく、同時代の画家たちの絵も展示してあったおかげで当時の服装や風俗も別の視点から見せてくれる楽しい展示だと思った。ゴッホも3点あった。アルルのダンスホールが見れてうれしかった。ルノワールにインスパイアされて描いたピカソの絵も一点、マティスも一点。展示のラストの目玉の一つ、ルノワールの浴女たちもじっくり見れてよかった。目玉の作品をはじめ、小品もたくさんあって素晴らしい展示だったと思う。平日の夕刻のせいか、意外と空いていてじっくり回れた。

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