Posts in Category: 美術館・美術展

2017/04/05 雪村展

ちょっと時間ができたので東京藝術大学大学美術館へ雪村展を観に。上野公園は桜が満開。水曜の日中だというのにすごい人出だった。美術館は東京芸大の敷地の中にある。上野公園のはずれなので周りは静かな雰囲気なのかなと思っていたのだけれど、今日は入学式が行われていたようでどことなく優しい雰囲気の賑わい。
常陸時代の作品から晩年までの時系列的な展示がメイン、それから尾形光琳が描いた雪村風の作品群、最後は雪村に影響を受けた後世の画家たちの作品群という順番。やはり雪村が奥州に滞在していたあたりの作品に強烈なインパクトを受けた。久々に見た呂洞賓図はやはりすごかった。晩年の作品の金山寺図屏風の前でしばらく立ちつくす。雪村を継ぐ者たちというコーナーのラストは橋本雅邦の作品が展示されていたのだけど、やはり尋常ではない画力に目を奪われる。雪景図、山水図、湖岸図、昇龍図。最後の最後にすごいインパクト。なぜかもう一度最初から見たくなる不思議。彩色画は2点くらいであとは全て水墨画。墨だけで描いてあの表現の幅の広さ。手触りをありありと想像させる墨の線、色が匂い立つような墨の色ってこういうことか。音声ガイドは岩本則夫さんがナビゲーター。独特の語り口がいい。作品リストをよく見てみると4/25からの後期展示も見るべき作品が多い。もう一回行こうかな。

美術館エントランスの印象的な光景というか看板。ナイスデザイン。モチーフはオースティン・ミニかな。

2017/03/29 大エルミタージュ美術館展

六本木で所用を済ませてから森アーツセンターギャラリーへ大エルミタージュ美術館展を観に。ついこの間、久々におろしや国酔夢譚を再読しました。物語の中にサンクトペテルブルグやエカテリーナ二世の話が出てきて、そういえば六本木でエルミタージュ美術館展やってるんだよな…ちょっと行ってみようかという感じで行ってみることにしたのでした。オールドマスターといわれる18世紀以前の画家たちのコレクションが豊富だということも個人的にツボでした。
展示はイタリアルネッサンス期の作品群からスタート、いきなりティツィアーノが二点。そこからは国地域別でオランダ、フランドル、スペイン、フランス、ドイツ・イギリス。個人的にはオランダのセクションに長居したくなる作品が多かったように思います。レンブラントの「運命を悟るハマン」はやはりすごかったし、アドリアーン・ファン・オスターデの「五感(臭覚、視覚、聴覚、味覚の四点)」は小さい絵だけど眺めていて楽しい作品でした。スペインのセクションではフランシスコ・デ・スルバランの「聖母マリアの少女時代」が素晴らしかった。最後のドイツ・イギリスのセクションではクラーナハの「林檎の樹の下の聖母子」がやはり目を惹きました。クラーナハが描くと聖母マリアが、どこかミステリアスな印象に。こないだ上野でクラーナハ展をやっていたんだっけ…行けばよかった…と思わせる、なんとも言えない魅力的な作品。
平日だったこともあり、そんなに混んでなくてゆっくり見れました。いつかサンクトペテルブルグに行って現地でもう一度観てみたい。

六本木ヒルズの植え込みはすっかり春モードです。写真を撮ってる人がたくさんいました。自分も混じって一枚。

2017/03/27 ミュシャ展

手帳を見てみると、2013年の12/28にスラヴ叙事詩全点が常設展示されているプラハのヴェレトゥルジュニー宮殿までトラムに乗って観に行っている。その時は大きさと内容の濃さに圧倒されつつ「こんなすごい絵があるのか!」と感動して、立って眺めたりベンチに座って眺めたりで3時間くらい会場にいてしまった記憶がある。あれからプラハには何回か行っているのだけど、休館日だったりスケジュールの都合だったりで観れていなかった。それが東京に全点がやってくるという。
月曜の午後、六本木の国立新美術館へミュシャ展を観に行ってきた。エントランス付近のチケット売り場は長めの行列ができていた。今日は月曜で他の美術館が閉まってるせいだろうか。草間彌生展もやっているのでそのせいかもしれないし、その両方かもしれない。先ほど六本木の金券ショップでチケットを入手していたので行列をスルーして直接会場の2Fへ(1Fは草間彌生展)。会場は結構混んでいた。3/8から6/5までミュシャの畢生の大作、スラブ叙事詩20点すべてがここの美術館で公開されている。全作品が海を渡るというのは世界でも前例のないことのようだ。もっとも大きい作品は610cm×810cm、小さめの作品でも短辺が405cmある。それが20点。よくぞ運んでくれましたというのが最初の感想。音声ガイドを借りて会場を回る。観るのに順番はなくて目に付いた作品からお楽しみくださいとのこと。スラブ叙事詩に関しては全点に音声ガイドの解説が付いていて、とても分かりやすかった。絵の横に添えられている題名と小さな解説だけだと、チェコやスラブ民族の歴史に相当詳しくないと内容を理解するのはかなり難しいのだろうと思う。プラハで最初に見た時は英語のガイドをじっくり読みながら(時々iphoneで分からない単語を引きつつ)見て回った。それはそれで思い出に残る楽しい経験だったのだけれど、日本語で解説を聞きながら鑑賞に集中できるっていうのはやはりいいなぁと思った。後半の展示はミュシャのスラブ叙事詩以前、パリとアメリカ時代のアールヌーボーの有名な作品がメイン。有名なサラ・ベルナールのポスターや本の挿絵が多かった。どちらかというと画家というよりはデザイナーとしての要素が強いと思う。ミュシャがスラブ叙事詩を描こうと決心したスメタナの「我が祖国」(のモルダウ)が音声ガイドのBGM。

2017/03/15 これぞ暁斎!展

大好きな河鍋暁斎の画を観にBunkamuraへ。今回の展示のすべての作品はイスラエル・ゴールドマン氏の所蔵でロンドンから来ているとのこと。河鍋暁斎に注目することになった作品は「半身達磨」、作品を集めることになったきっかけの作品は「象とたぬき」だそう。展示は単に暁斎の人生の時系列的ジャンル分けではなく、氏のコレクションの初期段階や画題の内容、描かれた時期など多彩な分け方で面白いと思った。河鍋暁斎の評価が今よりもまだまだ低かった時代にゴールドマン氏は暁斎の画のどこに惹かれてコレクションしたのかという視点からも楽しめる内容だったと思う。やはり個人的には動物画と戯画で口元がほころぶ作品が多かったように思う。あと幽霊図と百鬼夜行の画を前にするとどうしても息が止まってしまう。音声ガイドは春風亭昇太さんと藤村紀子さん。解説の軽妙さが作品の洒脱さと合っていて、楽しんで解説を聞けた。

今日は寒くて少し雨がぱらつく渋谷でした。

2017/02/06 青龍社の女性画家 小畠鼎子

吉祥寺で開催されている小畠鼎子さんの展覧会に行ってきました。吉祥寺は何度も行ったことのある街なのだけど、徒歩5分圏内に美術館なんてあったっけ?と思っていたらあるんですね、これが。小畠さんの画は強烈なインパクトというよりは、温かさがじんわり伝わってくるような作品たち。戦前と戦後という時代を通して描かれたような雰囲気ではありませんでした。企画展は小畠さんの展示だったのですが、常設展は萩原英雄さんと浜口陽三さんの部屋がそれぞれ一つずつ、合計3つの部屋を見ることができました。小畠さんの画を観に行ったのだけれど、実は今回一番興味深かったのは浜口陽三さんの作品。カラーメゾチントという技法で制作された作品の色の深さにびっくり。こんな版画見たことなかった。メゾチントは銅版画の一種らしいのですが、黒の中にも無数の色のトーンが表現されていて、静謐感の漂う落ち着いた雰囲気の非常に美しい版画たちでした。写真のモノクロームの印画紙にも温黒調とか冷黒調とかあるけれど、もっと豊かな色彩を含んだ深みのある黒のトーンに目を見張りました。人の手で造った黒の色とでも言うのでしょうか。常設展の部屋に素敵なデザインの椅子が所々に置いてあって、座って鑑賞できます。外国の作家の名のある作品なのでしょう、美しいデザインの椅子がさりげなく置かれている小さいながらも素敵な美術館でした。入館料はなんと100円。もうちょっといただいてもいいんじゃないでしょうか、と思える素敵な空間でした。世の中には自分が知らないだけで、すごいものが本当にたくさんあるなぁ。

この通りは何回も通ったことがあったけど、この看板を意識したことはなかった。1Fにムーミンカフェが入っているビルです。

2017/01/29 ティツィアーノとヴェネツィア派展

午前中から上野の都美館へ。去年春にカラヴァッジョ展を観てから、食わず嫌いだったイタリア絵画に少しずつ興味が出てきた。そんな自分でもティツィアーノという名前くらいは知っているけれど、ヴェネツィア派という言葉は聞いたことがなかった。デッサンを重視したフィレンツェ派とは違って色彩とその場の空気感の表現を重視していた流派とのこと。展示の内容はヴェネツィア派の中核であるベリーニ親子の工房の作品、その工房出身の作家たちの作品、時代は下ってその影響を受けたティツィアーノやティントレットなどの巨匠たちの作品、ヴェネツィア派の版画という構成だった。印象に残ったのはやはりティツィアーノの「フローラ」「ダナエ」「教皇パウルス3世の肖像」、パルマ・イル・ヴェッキオの「ユディト」、ヤコボ・ティントレットの「レダと白鳥」。ヴェネツィア派の展示ということもあり、肖像画と宗教画が多かった。飽きずに最後まで楽しく観れたのはキュレーターさんたちの力なのだろうと思った。音声ガイドの別所哲也さんの語りもよかった。

今日の空が映る都美館前のオブジェ。

2016/12/26~2017/01/09 “Trip in AMSTERDAM/Netherland,BERLIN/COLOGNE/Germany” 備忘録

2016/12/27
RIJKSMuseum(アムステルダム国立美術館)/Amsterdam

2016/12/23 デトロイト美術館展

朝イチで上野の森美術館展へ。結構前からやっている展示のせいか、思っていたほどは混んでいなかった。デトロイト美術館が所蔵する19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画コレクション。ギュスターヴ・クールベからピカソあたりまで。ドガ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、マティスなどオールスター級の有名どころがずらり。印象に残ったのはモネの「グラジオラス」、カロリュス=デュランの「喜び楽しむ人々」、セザンヌの「画家の夫人」と「三つの髑髏」、ゴッホの「自画像」と「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」、マティスの「窓」と「コーヒータイム」、ピカソの「アニス酒の瓶」と「座る女性」。今回の展示で一番意外だったのは20世紀のドイツ絵画が12点あったこと。全52点なので結構な枚数だと思う。去年ベルリンのベルリニッシュギャラリーで見たベックマンは知っていたけど、他は知らない画家ばかりでとても印象的だった。中でもエイルンスト・ルードヴィヒ・キルヒナーの「月下の冬景色」、オスカー・ココシュカの「エルベ川、ドレスデン近郊」、オットー・ディクスの「自画像」。このすごい内容のコレクションを持つ美術館がニューヨークでもなく、ワシントンでもなくデトロイトという町にあるのは不思議だと思っていた。それになぜ第二次世界大戦頃のドイツ絵画をコレクションに積極的に加えたのかということも詳しく知りたい。この美術館の成り立ちとその後現在にいたるまでの波乱万丈の物語を、原田マハさんが芸術新潮で連載していたものがこのあいだ単行本になって新潮社から出たようなので、ぜひ読んでみようと思う。オーディオガイドは鈴木京香さん。柔らかな語り口がとても素敵でした。

観終わってからちょっと歩いて天寿々(てんすず)で昼。特上天丼はとても美味しかった。要再訪、できれば夜行きたい。

2016/10/27 鈴木其一展・後期

展示替え後。意外と混んでいてびっくり。前期の展示で見たものはスキップしようと思っていたのだけれど、展示替えになった作品が多いので結局じっくり見てしまった。印象に残った作品は「夏秋渓流図屏風」「風神雷神図襖」「蔬菜群虫図」「毘沙門天像」「龍上白衣観音像」「十二ヶ月図扇」「石橋・牡丹図」「朝顔図屏風(何度見てもすごい)」「四季花鳥図屏風」「竹鍾馗図」。特に見たかったのは夏秋渓流図屏風。図版で見ていた画の感じと全く違う印象。画にあえて遠近感をつけないことによって、かえって余計に奥行きを感じさせる。金地の余白との絶妙なバランスもそれを増幅しているのだと思う。申し訳程度の展示替えではなかった。個人的には後期の展示の方が好きな作品が多かった。前期後期でそれぞれをこんなに楽しめるとは思わなかった。素敵なサプライズ。

サントリー美術館の前にソファが置いてあるパブリックスペースがあるのだけれど、展示を見終わってソファに座ってディスプレイを見るのも楽しみの一つ。秋のイメージで装飾してあった。第一園芸という会社が担当されているようだ。_dsf4121

2016/10/25 ゴッホとゴーギャン展

アルルでの共同生活時代を核に、ゴッホとゴーギャンの絵に対する考え方の違いとそれぞれの個性を浮かび上がらせる展示だったと思う。アルルでの共同生活前後の二人の作風の変遷も興味深い。強烈な個性の持ち主同士が刺激と影響を与え合って作風が目に見えて明らかに変わってゆく。特にゴッホが精神を病んで以降、そしてゴーギャンがタヒチに渡って以降の二人の作風の変遷ぶりは自分が感じていた以上だった。どちらももはやこの世ではなく、あの世の風景を描いていたのではないかと思ってしまう。自分にとって大事なもの、自己と他者、変わるものと変わらないもの、いつもに増していろいろなことを考えさせられる展示だった。印象に残ったのは、ゴッホ「古い教会の塔、ニューネン」「ボートの浮かぶセーヌ川」「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏」「グラスに生けたアーモンドの小枝」「レモンの籠と瓶」「耕された畑」「公園の小道」「ゴーギャンの椅子」「玉ねぎの皿のある静物」「刈り入れをする人のいる麦畑」、ゴーギャン「ブルターニュの少年の水浴」「ガチョウの戯れ」「アリスカンの並木道」「ブドウの収穫、人間の悲惨」「水辺の女」「タヒチの女」「タヒチの3人」「タヒチの牧歌」「肘掛け椅子のひまわり」、ジャン・フランソワ・ミレー「鵞鳥番の少女」、ポール・セリュジェ「リンゴの収穫」。

久々に上野の大仏に寄ってみる。受験生たちの絵馬がたくさん。薬師如来と日光菩薩と月光菩薩を拝んで帰途に。_dsf4119