Posts By satosixx

2017/11/14 運慶展

御徒町のアーンドラキッチンで昼を食べてから、行きたかった運慶展を観に東京国立博物館へ。エントランスに着いてみると入場まで30分待ちとの表示。雨が降っている中で並ぶのは嫌なので帰ろうかと思ったけど、会期中に来られるのは今日しかないので腹を決める。ちょうど30分くらいの待ちだったと思うけど、想像していたよりは短く感じた。係員さんによると今日は空いてる方とのこと。そんな感じなので中も当然混雑。初めてオーディオガイドを借りるのに行列をした。いつもならその辺で心が萎えてくるのだが、今回は違った。中はほぼ国宝と重要文化財ばかりと言っていい内容。運慶の父、康慶作の仏像から始まる展示。運慶の四天王の彫刻の迫力の凄いこと、そして如来の表情の穏やかなこと。有名仏師の作った仏像をちょっと観に行ってみるかという認識だったけど、これはもはや彫刻展だと思った。15世紀にミケランジェロがキリスト教に題材をとって大理石に鑿を振るったように、12~13世紀の平安時代から鎌倉時代の日本で運慶は木に鑿を振るっていた。そして800年以上前の運慶が彫った多数の木彫がいい状態で現存しているのは奇跡と言っていいのではないだろうか。今回は博物館での展示。本来お寺に安置してある状態だと、上から下まで適切にライトが当てられた状態で、しかもこんなに近くで細部まで鑑賞することは不可能だろう。今回は横にも裏にも回ってじっくり観ることができる。お寺の雰囲気を楽しみながら拝観するのもいいけれど、こういう企画展でいちどきに会する運慶の彫刻をじっくり観察できるのは稀有な機会。オーディオガイドの解説をじっくり聞いて、解説文をしっかり読んで、お気に入りの仏像を何回も見直したりしながら結構長居してしまった。人いきれの中にいたせいでちょっと疲れたけど、想像をはるかに超えるかっこよさ。疲れ気味だったけど行ってよかった。それにしても評判通りの凄い展示だった。これは混むわけだ。しかしこんなに国宝と重文ばかりの展示をよくぞ実現させてくれたものだと思う。こちらからは見えない苦労が多々あったことだろう。実現させてくれた関係者の皆さんの熱意に頭が下がる。

帰り際に。東京国立博物館の前の噴水の池の中に寛永寺の山門、文殊楼が再現されていて驚いた。開催中の数寄フェスの大巻伸嗣さんの作品だそうだ。雨降ってたけど、みんな楽しそうに写真を撮っていた。

2017/11/01 ブラック・ダイク・バンド

仕事が終わって急いで池袋の東京芸術劇場へ。去年のブラックダイクバンドの評判がとても高かったので今年来日することがあれば行ってみたいと思っていたのでした。イギリスの実力ナンバーワンのブラスバンドとのこと。指揮はニコラス・チャイルズさん。演奏が始まってまず感じたのはオーケストラの金管の音と比べて非常に柔らかいと感じたこと。使用する楽器もオーケストラで用いる金管楽器とは違うようだ。前半のプログラムは「クイーンズバリー」で始まって、映画「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎のテーマ」、「ジェームズ・ボンド/007組曲」、「トレボーン湾のほとりで」、「メトロポリス1927」のあと20分間の休憩。後半は「スルー・ザ・フレイムス」のあとはソリストショーケース「アニー・ローリー」「オーバー・ザ・レインボー」「ブラヴーラ」3曲それぞれソリストたちの超絶技巧を堪能できた。最後はビッグ・バンド・セットで「オーパス・ワン」「アイ・オンリー・ハヴ・アイズ・フォー・ユー」「マック・ザ・ナイフ」「トゥ・ボールドリー・ゴー」。ビッグ・バンド・セットでの演奏は大盛り上がりだった。アンコールはバッハの「トッカータ」と「ハイランド・キャッスル」。バッハをブラスバンドで聴いたのは初めてだったけど、アレンジが斬新で非常にカッコよかった。ブラスバンドがこんなにカッコいいなんて想像もしていなかった。世の中には自分が知らないすごいものがまだまだたくさんあるのだよなぁとしみじみ。ラストの曲もよかったけど、おじさんは007のテーマにしびれた。また来年来てくれないかな。

2017/10 ジムメモ

2017/10/29 ケルン放送交響楽団

台風の影響で朝から強い雨脚。午後からオペラシティのコンサートホールへ。佐渡裕氏指揮のケルン放送交響楽団の日本ツアー最終日。佐渡氏指揮の音楽を聴いてみたくて、かなり前からチケットを取って楽しみにしていた。プログラムはワーグナー「ジークフリート牧歌」、シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」、ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調op.67「運命」。未完成は初めて生の演奏を聴いた。とても柔らかくて繊細な印象。未完成という言葉はシューベルトがつけた言葉ではなく、後々ついたもの。未完成というテーマで作られた曲ではない。そうとわかっていてもインパクトのある演奏を思い浮かべがちだが、いい意味で期待を裏切られた。あえて言うならどこか儚げで哀しい曲に感じられた。20分間の休憩の後は「運命」。こちらは今まで聴いた中で一番熱い演奏だった。特に第4楽章の最後の全力の疾走感。佐渡氏がプログラムの解説に非常に興味深いことを書いていた。運命の楽譜はなんと八分休符から始まるのだという。指揮者は休符に向かって腕を振り下ろす。振り下ろした瞬間は音が鳴らなくて、「ン(休み)、ジャジャジャーン」なのだそうだ。これはCDで聴いていると絶対分からないだろう。生の演奏を目にして初めて感じられるサプライズだと思う。今回のプログラム、「未完成」が柔、「運命」は剛といったところか。アンコールはモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲。

初台駅を出て、オペラシティのコンサートホール、タケミツメモリアルに続くアプローチ。ここの空間は本当に気持ちがいい。

2017/10/22 ヴラマンク展

朝から強い雨。選挙に行ってから中央道に乗って甲府昭和で降りる。下道を北に4kmくらい走ったところに山梨県立美術館がある。そこで9/2からやっているヴラマンク展が気になっていた。クライミングで雨敗退した時にでも行こうかと思っていたのだけど、雨が多かったりなんやかんやで機会がなくて最終日の今日になってしまった。ここはミレーのコレクションでも有名で常設展示をやっている。どっちから見ようかと思ったけど、企画展のヴラマンク展から。ヴラマンクといえば強烈な色使いと堅固なアングルの風景画というイメージだった。それが大好きだったのだけど、今回初めて静物画も見ることができた。セザンヌから影響を受けた初期の作品も初めて見る。補色の扱い方が独特だと感じる。色のトーンでそう感じるのか、タッチのせいなのか。1925年から1955年の全盛期の風景を描いた作品も原色に近い色を多用しているのだけれど、なぜか陰鬱なイメージを受ける。ゴッホとかユトリロの絵から受ける印象と少し似ているのかもしれない。空の描き方でそう感じるのだろうか。色とかコントラストの対比だけでなく、地上と空自体を対比させているようにも感じられたし、昼の中にも夜の雰囲気を感じる。独特な印象を与える不思議な魅力を湛えた画たち。晩年の作品はリトグラフだった。油彩ほど強烈なインパクトはないけれど、彼の色彩感覚のエッセンスが凝縮していると思う。ゆっくり見終わった頃にはお昼時だったので併設のレストランで食事をして、今度はミレーの常設展示室へ。種をまく人の実物を初めて観れた。この展示室はミレーの作品だけではなくて、19世紀の同時代のフランス画家たちの作品も展示されていて見ごたえのある内容。それからもう一つの企画展示室へ。こちらはこの美術館がコレクションしている作品を、あるテーマに沿って展示してみるという趣向のようだ。今回のテーマは「たべる」と「えがく」の不思議な関係、ということのようだ。主に山梨県にゆかりのある作家の作品が多く展示されていた。今まで知らなかった作家の絵もたくさん見れた。日本画、洋画、エッチング、コラージュとバラエティに富んだ展示内容。中にミレーのエッチングもあったりでさらっと流すつもりが結構じっくり楽しんでしまった。なんだかんだでお昼をはさんで半日以上美術館で楽しんだ。午後はホールでチェロの演奏会をやっていたり、子供の絵の展覧会をやっていたようで元気な子供の声がホールに響いていたり。東京の美術館の雰囲気とはちょっと違っていて興味深い。柔らかい雰囲気の美術館。コレクション展は年に4回展示替えをするようなのでまた来たい。

終日強い雨。晴れてたら青い空にレンガの色が映えて素敵なんだろうなと思った。行き帰りの高速道路は50km規制。水煙がすごくて運転はちょっと緊張した。

2017/10/18 立川志らく落語大全集 秋

国立演芸場。前回のシネマ落語の「E.T」が面白かったので「タイタニック」はどんな感じなのだろうと。開口一番は立川志ら松「大安売り」で始まる。それから立川志らく「粗忽の使者」「抜け雀」の後、仲入り。そして「タイタニック」。粗忽の使者と抜け雀の登場人物を登場させて江戸の人情噺に仕立てたタイタニック。タイタニックの時代設定と登場人物の設定が斬新。そうくるかと。新しい面白さに驚いた。それにしても噺を三つリンクさせるっていう手法はいつもながら感心する。例によって笑いっぱなし。

落語大全集のリーフレット。志らく氏がつづる解説を読むのが毎回楽しみ。

2017/10/16 メナヘム・プレスラー ピアノ・リサイタル

2014年の年末にベルリンフィルのジルベスターコンサートを聴きに行った時、ゲストソリストだったメナヘム・プレスラーさんのピアノのあまりの美しさに驚嘆したのでした。その時はあえて前情報なしで聴きに行ったのですが、ずいぶん高齢なように見えたけど…と思いながらホテルに帰ってネットで検索してみたら、なんと90歳だというではないですか。そして今回がベルリンフィルの共演デビューとのこと。びっくり仰天。いや、びっくりを越えて、感動しちゃいました。その時の曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番。あの演奏は忘れられません。そのメナヘム・プレスラーさんが去年来日する予定が体調不良でキャンセル。年齢も年齢だし仕方ないか、と思っていたら今年も来日する予定とのこと。即チケットを入手して聴きに行ってきました。プログラムはヘンデル「シャコンヌト長調HWV435」、モーツァルト「幻想曲ハ短調K.475」「ピアノソナタ第14番ハ短調K457」、ドビュッシー「前奏曲集」第1集から「デルフィの舞姫たち」「帆」「亜麻色の髪の乙女」「沈める寺」「ミンストレル」、「レントより遅く」、「夢」。そしてショパン「マズルカ第25番ロ短調op.33-4」、「マズルカ第38番嬰ヘ短調op.59-3」、「マズルカ第45番op.67-4」、「バラード第3番変イ長調op.47」。大きな拍手に迎えられて登場、付き添いの方に支えられてピアノの前に座りちょっと目をつむってから演奏が始まりました。最初はちょっと緊張してるのかなと思っていましたが、すぐに演奏に集中。柔らかい音、息を飲むピアニッシモ。今売り出し中の若くて勢いのあるピアニストの大輪の花のような演奏も素敵なのだけど、今日のはそっと咲いているとびきり美しい小さな花をみんなで息をこらして見守るようなピアノ・リサイタル。聴衆のマナーも素晴らしかった。アンコールはショパン「ノクターン第20番嬰ハ短調」、ドビュッシー「月の光」。演奏後、付き添いの方に支えられて大きな喝采に応えるべく何度もステージに出てきてくれました。最後はほぼ全員スタンディング・オベーション。NHKの撮影が入っていたのでどこかで放送されるのだろうか。彼のドキュメンタリーだったらいいなぁ。

2017/10/07 立川志らく独演会

近所の練馬文化センターへ。前座の立川志ら鈴さんの「十徳」で始まる。志らく師匠の「火焔太鼓」の後、仲入り。最後は「中村仲蔵」。火焔太鼓を生で聴くのは初めて。CDで古今亭志ん生師匠のを車の中でよく聞いていたのだが、夫婦の会話のトーンが全く違っていて非常に興味深い。噺家さんのテイストの違いが歴然。どっちも良いなぁ。中村仲蔵は立川志の輔師匠のやつしか聞いたことがなかったのだけれど、志らく師匠のはギャグ要素がかなり高めでこれもまたよし。そういえば二年前に赤坂ACTシアターで聴いた志の輔師匠の大忠臣蔵と中村仲蔵のあのコンボはやはりすごかったなぁと今更ながら。来年またがんばってチケット取ってみようかな。

文化センターのロビーに案内役としておいてあるペッパーくん。来た時は元気で案内していたのだが、帰り際バッテリー切れで哀愁ただよわせまくり。

2017/10/04 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

アークヒルズサウスタワーの3rd Burgerでハンバーガーとビールを食べてリニューアルしたばかりのサントリーホールへ。5月に首席指揮者のイジー・ビエロフラーヴェク氏が逝去していた。代わりにタクトを振るのはペトル・アルトリヒテル氏。彼の指揮はどこかで聴いていると思うのだが、どこでだったか思い出せない。前回チェコフィルを東京で聴いたのは2015/10/31のサントリーホール、指揮はイジー・ビエロフラーヴェク氏で「我が祖国」とダニール・トリフォーノフのピアノでラフマニノフのピアノ協奏曲第二番だった。今回のプログラムはスメタナのオペラ「売られた花嫁」序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」ピアノはアリス=紗良・オットさん、ドヴォルザーク交響曲第八番。アリス=紗良・オットさんのピアノを生で聴いてみたかった。青いドレスで裸足で登場。CDで聞くと硬質な音で端正なピアノという印象だったけど、コンチェルトで弾くピアノは端正なんだけど情緒豊かな印象。何より演奏を心から楽しんでいる姿が見てて楽しい。ピアニストのアンコールはショパン「夜想曲嬰ハ短調」。アンコール前に日本語で短い曲紹介があった。時差ぼけがキツいのでゆっくりな曲を演奏しますとのこと。アルトリヒテル氏の「Memory of Jiří Bělohlávek」のアナウンスの後、オーケストラのアンコール。ドヴォルザーク「スラヴ舞曲集第2集」より第7番と第8番。

ビエロフラーヴェク氏の指揮でレコーディングしたスラヴ舞曲集のCDが発売されていたのだった。買おうかな。

2017/10/01 小川山

早起きして小川山。駐車場近くで久々にヘビークライマーきんさんにお会いしてちょっと話す。それから小川山レイバックでアップしてイムジン河の岩へ。おーこれがイムジン河か。のりのりさんが必要なギアを入手できて、やってみます?とのことだったので細かいカムセットとナッツの練習&ビレイがてら連れてきてもらった。先客が何人かいたので、ラインを観察。のりのりさんがプロテクションの位置と番手を確認しつつ、ひとまずトップアウト。そのあとにそのままトップロープでトライした。プロテクションの位置と個所とムーブを探りながら。おそらくここが核心と思われるパートはあまりじっくり探らずに、ひとまず上までムーブ確認のために抜けておく。フェイス的ムーブと言われている通り、クラック特有のコツの要るムーブは使わなくても登れそうだ。ムーブ自体はそんなに難しくないと感じた。ただ、小さいカムをセットするのは慣れてないせいで緊張するし時間もかかる。確実にプロテクションを決めるのが核心ってこういうことか。登るためのムーブ作りやムーブをこなすということとは(自分にとって)全く別の感覚に切り替えなければならない。実際のクライミングの合間に今まで存在しなかったギアにシフトを入れながら登る感覚で(しかも基本的にうまく入らない)、思い通りにいかない。思い通りにできないというか、気持ちの切り替えがうまくできてないという感じだろうか。プロテクションのセットとクリップがセットになったムーブとして身体が認識するまでのもどかしさなのだろう。ボルダリングからリードに移行した時のクリップの面倒くささのグレードを上げたようなものかもしれない。次の便は夕方暗くなり始めてから。核心パートでやはりプロテクション位置とムーブ構成で悩む。時間もないので仮決めのムーブしか作れず。そこからのパートはプロテクション位置の調整でなんとかなるはずというのはわかった。最後ののりのりさんのリードトライは暗くてプロテクションがうまく取れなかったようだ。そこからはあっという間に暗くなってしまった。こういうこともあろうかと残しておいたトップロープでヘッテンつけて回収へ。真っ暗な中、食い込んだナッツの回収がこんなに大変だとは思わなかった(笑)。作業中、クラック内に住んでいるのであろう見たこともない形状の昆虫が内側を走り回っていた。彼らにしてみたら我々クライマーは相当迷惑な存在なのだろうなぁと思いながら、岩にぶら下がって小さいトンカチでナッツキーを叩く日曜の夜。

午前中、陽が当たるイムジン河。よく見ると左側にボルトが打たれているラインがあった。誰かのプロジェクトなのだろうか。